山崎豊子 - 沈まぬ太陽 御巣鷹編

まず、500ページに及ぶ大作ながら、そのリアルな描写にすっかり引きつけられてしまい、ほぼ1日で読了してしまったことに、自分自身で驚いた。


読書中は、何度も凄惨な描画がこれでもか というぐらい登場するが、その描写があることで感動する場面がひときわ際だち、何度涙したことか・・・


然の家族の死を前に怒りと悲しみに暮れる被害者の家族や親類、「お世話係」を担当する国民航空(小説内において日本航空を意味している)の社員達などにスポットライトが次々と当たり、興味深く読むことができた。


一方で、企業の経営者層の変わらぬ無責任体質について痛烈に批判をしており、気持ちよさすら感じた。最近起きたパロマ事故の件とどうしてもダブって考えさせられた。


何故企業は事故を隠すのか、ないしは責任転嫁するのか。
一言で言えば、経営者の「保身」であろう。自分の地位の維持に固執するあまり、本来のあるべき姿を見失うのであろう。


自分は航空会社ほど直接的に人名にかかわる仕事に就いているわけではないが、身の引き締まる思いだった。


御巣鷹編だけ読めば十分かな と思っていたが、この夏中に全5巻を読むことにした。

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇
山崎 豊子
新潮社 (2001/12)
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