サン=テグジュペリ - 星の王子さま
以前読んだ本の中で引用されており、読んでみたくなった。
綺麗な挿絵が何点か挿入されている。
タイトルから、子供向けの作品だと思っていた。
子供を扱った作品ではあるが、大人になっていつしか失われたものがそこにはある。
難解ではないが、自分が子供の頃にこの作品に出逢っていたら、たいして楽しめなかっただろう。
大人向けの童話だ。
読む度に懐かしさがこみ上げてくる そんな作品。
一番のお気に入りの場面を引用する。
アメリカで正午のとき、フランスでは、みんなも知ってのとおり、日が沈んでいくわけだ。だからもし一分でフランスまで行けるなら、それで夕日が見られる。でも残念ながら、フランスはもっとずっと遠いところにある。ところがきみの小さな星では、ほんの何歩かいすを動かせばいいだけだった。そうすれば、見たいときにいつでも夕暮れの光景が見られる・・・・・・
「陽が沈むのを、一日に四十四回見たこともあったよ!」
そう言ってしばらくしてから、きみはぽつりとつぶやいた。
「ねえ・・・・・・悲しくてたまらないときは、夕陽が見たくなるよね・・・・・・」
「じゃあ四十四回見た日は、きみは悲しくてたまらなかったの?」
王子さまは、答えなかった。
「僕」と王子さまの何気ない会話だが、小さな小さな星での夕陽四十四回分の悲しさを思うと、胸が締め付けられた。