安部公房 - 燃えつきた地図

実家の蔵書を漁っていたときに見つけたのがこの作品。
読んだかどうかまるで記憶にない。おそらく高校生の頃に宿題に出された読書感想文の題材だったんだろう。
自宅に持ち帰って半年ほど経過し、本棚から読んでくれ と訴えているような気がして思い切って手に取ってみた。


3ページほど読んでみて、「自分には合わない」作品だということが直感でわかった。どうも書かれている描写が頭の中でスムーズに組み立てられない。ここで投げ出すのは簡単だったが、何年も読まれるのを待っていたのかと思うと忍びなく、気を取り直してもう一度最初から読んでみた。


失踪した夫を、その妻の依頼により興信所の男が探すという設定なので、推理小説に近い物を想像していたが、まるで違っていた。内容が無機質で一行に晴れ間が見えず、夜の闇を彷徨っているような感覚に陥り、読んでいてすっかり滅入ってしまった。久々に苦痛に耐えながら最後まで一気に読んでみたが、とうとう暗闇から抜け出すことはできなかった。読み切ったという感慨すらなかった・・・


直後に疲れからうとうとソファーの上で眠りに入ってしまい、この作品と同様に後味の悪い夢を見て目を覚ました。

燃えつきた地図
燃えつきた地図
posted with amazlet on 06.07.29
安部 公房
新潮社 (1980/01)
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