村上春樹訳 - グレート・ギャツビー 続

年末に本作品を読んで思ったことを簡単に書いた
今回は、12月10日の日経新聞で記事になっていた訳者による違いを紹介したい。
では早速引用。

実際に比べてみよう。野崎孝訳(新潮文庫)では「『ぼくは神秘主義は嫌いでしてね』そうぼくは答えた『どうして率直に用件を直接ぼくに打ち明けないんです?(略)』」という部分が、村上訳では「『謎かけは好きじゃない』と僕は答えた。『よくわからないんだけど、もし何か僕にしてほしいことがあるのなら、まっすぐ君の口から言えばいいじゃないか。(略)』」となっている。好みはあるが、村上訳の方が現代の感覚に近いだろう。


この箇所だけとると、自分は野崎氏の訳の方が好みだ。
野崎氏の訳は過去に2回ほど読んだことがある。
自分は村上氏の訳に、シンプルかつよりわかりやすい表現を期待した。
しかし訳に力が入りすぎているというか、やや回りくどい表現があったりして、拍子外れなところがあった。
それだけ氏のこの作品に対するこだわりが読み取れるのだが・・・


「訳者あとがき」によると、これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な三冊の本は、
 ・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』
 ・ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟
 ・レイモンド・チャンドラーロング・グッドバイ
だという。
カラマーゾフの兄弟』については、亀山郁夫氏による新しい訳が2巻まで出ているようである。
原卓也氏の訳は以前読んだので、比較する上でも読むのが楽しみだ。
ロング・グッドバイ』については、村上氏により翻訳はほぼ完成しているらしい。
どのような作品なのか今から気になる。


いずれにしても、『グレート・ギャッツビー』は何度も読み返したくなる作品であることは間違いない。


グレート・ギャツビー